台風延期の末、種子島から打ち上げ
JAXAは2026年8月11日午前4時23分31秒(日本標準時)、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターからH3ロケット9号機を打ち上げた。JAXAの公式発表によれば、リフトオフから約29分4秒後に準天頂衛星システム「みちびき7号機」を正常に分離し、所定の軌道への投入を確認したという。
当初の打ち上げ予定日は8月7日だったが、台風の接近に伴う天候悪化により延期され、11日未明の実施となった(サイエンスポータル)。
8号機の失敗から8か月、同型式での再起
今回の打ち上げは、H3ロケットにとって節目の意味を持つ。2025年12月、H3ロケット8号機は「みちびき5号機」を搭載して打ち上げられたが失敗に終わった。sorae.infoによれば、衛星をロケットに搭載するための部品である「衛星搭載アダプタ」に生じた損傷が主因という。
9号機は、この失敗の原因となった8号機と同じ標準型(通称「22形態」)での打ち上げだ。産経新聞(Yahoo!ニュース配信)によれば、標準型としては約8か月ぶりの運用再開となる。Infoseekニュース(産経新聞配信)によると、8号機失敗後、実用衛星の打ち上げ成功は2025年10月の7号機以来という。対策として、衛星搭載アダプタの固定方式を接着からボルト・ナット固定に変更した。この方式は先代ロケット「H2A」で実績のある手法だという(同Infoseekニュース)。
JAXAの有田誠プロジェクトマネージャは打ち上げ後、「実運用の再開にのろしを上げられた」と述べ、新方式の台座については「まずは合格点ではないか」と評価したと同ニュースは伝えている。
成功率は77.7%、信頼回復は道半ば
もっとも、前出の産経新聞記事はH3ロケット全体の成功率が77.7%にとどまっている点も指摘している。前身の「H2A」ロケットの成功率(約98%)と比べると差は大きく、記事は9号機の成功について「日本の宇宙輸送を担い、世界の打ち上げ市場で選ばれるロケットになるための再出発にすぎない」と位置づけている。今後の打ち上げでも安定した成功を積み重ねられるかが、信頼回復の鍵になりそうだ。
みちびき7号機、測位精度向上への布石
打ち上げられた「みちびき7号機」は、準天頂衛星システム(QZSS)の6機目の稼働衛星となる(既存の稼働5機に7号機が加わる、Infoseekニュース)。内閣府特命担当大臣(宇宙政策)談話は、7号機により他国の測位衛星に頼らず日本独自で測位が可能となる「7機体制」の早期構築を目指すとし、さらに「11機体制」に向けた開発も加速するとしている。11機体制は、一部の衛星が使えなくなっても測位機能を維持できる冗長構成を意味するとみられる。
みちびき7号機は高精度測位システム「アスナブ」を搭載する。サイエンスポータルによれば、対応衛星が出そろえば、一般的なスマートフォンでも現在の5~10メートル程度から1メートル程度まで測位精度が向上する可能性があるという。衛星は今後、所定の軌道に移動したうえで数か月程度の試験を経て、運用を開始する予定(内閣府談話)。
H3ロケットは今後、火星衛星探査計画「MMX」や新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」、民間月着陸船「ispace」の「ULTRA」の打ち上げにも使われる計画で(sorae.info)、次の打ち上げ機会でも安定した成功を示せるかが注目される。